日本向けOEMの国選定は、用途(2P/3P)×予算×LT×品質一貫性×MOQで判断。結論:3P Urethaneは台湾(再現性・一次合格率に優位)、2Pや小ロット多色は中国(低コスト・短LT・低MOQ)。旺季は中国で即納、台湾で中期補充。指標:MOQ・一次合格率・包装/印刷方式。
用途別の最適国と選び方
3P(Urethane)は台湾が一貫性と一次合格率で優位。2Pや小ロット多色/多様包装は中国がコスト・LT(リードタイム)・MOQで有利。旺季は中国で即納、台湾で中期補充が安全です。
最初に用途で切り分けます。ツアー志向3Pは台湾が量産バラツキ小・一次合格率高。プロモ/ノベルティ・練習球など2Pは中国が低コスト・短納期・低MOQで扱いやすい。デジタルUVやギフト包装の選択肢も豊富です。運用は在庫逼迫=中国2Pで即補充、同時に台湾3Pを仕込み中期の棚戻しを狙う二段構えが安定です。
意思決定ツリー(用途×予算×納期)
用途と目標単価、希望LTで分岐。≤¥100/球→中国2P、¥180–¥250/球→台湾3P。≤14日は中国、28–35日許容で再現性最優先→台湾。印刷は移印/UVのABで見た目×耐摩耗を評価。
旗艦/ノベルティ/練習球の国別推奨
旗艦・ツアー級=台湾3P Urethane。ノベルティ/販促=中国2P Surlyn。練習球は中国2Pが基本、スクール精度重視は台湾2Pも比較。
並行手配(先行試作と量産)の段取り
同一ロゴで移印/UVの2系統試作。白箱+3球スリーブとPET透明の二種梱包を並行確認。FOB見積は中台同時、LTと一次合格率の履歴提示を条件化。
用途別の国選定(早見表)
| 用途/ターゲット | 推奨国 | 根拠 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 旗艦・ツアー志向(3P Urethane) | 台湾 | 注型・塗装の一貫性、一次合格率 | LTやや長、MOQ高 |
| 促販・ノベルティ(2P) | 中国 | 低コスト、短LT、低MOQ | 品質レンジ広い→監査必須 |
| 練習/距離・大量配布 | 中国 | 価格優位、包装選択肢多い | 色/印刷指示を明確化 |
| 小ロット多色印刷 | 中国 | デジタルUVの柔軟性 | 単価は移印より高め |
2024年の規模と金額の要点
中国3.2–3.5億個・¥60–65/個で計¥1,950–¥2,275億。台湾3.5–4.2億個・¥90–120/個で計¥3,150–¥5,070億。台湾は中高級比率とUrethane比重が高い構成です。
台湾は数量で中国に肩を並べ、単価レンジが高いため金額規模はより大きい傾向。主要輸出先は台湾:米/日/EU/韓、中国:米/韓/日/英。型構成は台湾=2P中高級+3P Urethane、中国=2P Surlyn規模化+中位3Pです。
主要輸出先と型構成の違い
台湾はUrethane高比率で高付加価値。中国はSurlyn量産と印刷/包装一体化でコスト・スピードに強み。
価格帯別ボリューム感
≤¥100/球は中国2P、¥180–¥250/球は台湾3Pが主導。¥120–¥170は印刷・包装・LT依存。
日本の輸入実績は何を示す?
2024推計で日本は中国約1,600万個(¥10–11億)・台湾6,300–6,500万個(¥440–¥460億)。数量も単価も台湾の高付加価値レンジが際立ち、OASは台湾相当です。
日本小売/法人の売れ筋仕様
量販・法人は2P Surlyn中心。高単価3P Urethaneはギフト/選手層/ブランド主力で安定。白箱+3球スリーブとPET透明が棚見せ/物流で無難。
単価レンジ別の調達先分担
¥60–¥100/球→中国2P、¥180–¥250/球→台湾3P。¥120–¥170は仕様(印刷色数・包装・LT)で分岐。
日本向け輸入(2024 推計)
| 出所 | 数量 | 金額 | 平均単価 |
|---|---|---|---|
| 中国→日本 | 約1,600万個 | ¥10.1–¥11.0億 | ¥63–¥69 |
| 台湾(OAS)→日本 | 約6,300–6,500万個 | ¥440–¥460億 | ¥677–¥730 |
✔ 正しい理解 — OAS(Other Asia, nes)は実務上「台湾」扱い
WITS等で台湾がOASに分類されます。HS950632の文脈ではOAS=台湾として読むのが通例です。
✘ よくある誤解 — 「OASは台湾を含まない」
解釈を誤ると仕入判断を誤ります。注記を確認しましょう。
コスト内訳は2ピース/3ピースでどう違う?
2Pは中国¥70–95/球・台湾¥85–115/球、3Pは中国¥170–230/球・台湾¥190–270/球。差は人件費・管理費・金型/塗装で拡大し、印刷/包装の選択でも総額差が広がります。
材料/人件費/間接費の分解
2Pの材料(BR/ZDA/Surlyn/塗装)は概ね近似。一方人件費/管理費/金型は台湾高め。3PはUrethaneプリポリマー/クリアコートで差拡大。
印刷(移印/デジタルUV)・包装コスト比較
移印は中大ロットで安価、UVは小ロット/多色で有利。包装は白箱/スリーブ標準、PET透明は販促性が高い。
数量閾値(スケールメリット)
2,000–3,000個超で印刷・包装単価が緩み、5,000–10,000個で段取り効率が改善。3Pは不良低減=実効単価低下に直結、一次合格率開示を条件化。
コスト内訳(2ピース Surlyn)/ 球
| 明細 | 中国 | 台湾 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 材料 | ¥45–55 | ¥45–55 | BR/ZDA/Surlyn/塗装 |
| 人件費 | ¥6–10 | ¥10–16 | 中国優位 |
| 公用工程 | ¥3–5 | ¥4–6 | 電力・水等 |
| 金型/治具 | ¥2–4 | ¥3–5 | 量産規模で差 |
| 工程・ロス | ¥3–5 | ¥3–5 | 同等レンジ |
| 管理・間接 | ¥5–8 | ¥7–12 | 体制差 |
| 小計(印刷包装除く) | ¥64–87 | ¥72–99 | 材料〜間接の合計(印刷・包装を除く) |
| 移印(1–2色) | ¥1–3 | ¥2–4 | 段取り・色数で変動 |
| 基本包装 | ¥5–8 | ¥7–12 | 白箱/スリーブ基準 |
| 合計 | ¥70–95 | ¥85–115 | 印刷・包装を含む総計 |
コスト内訳(3ピース Urethane)/ 球
| 明細 | 中国 | 台湾 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 材料 | ¥110–140 | ¥120–160 | PUプリポリマー/クリアコート |
| 人件費 | ¥15–25 | ¥20–35 | 加工・検査・技術者工賃 |
| 公用工程 | ¥6–9 | ¥7–10 | 電力・水・空調等のユーティリティ |
| 金型/治具 | ¥6–10 | ¥8–12 | 金型・治具の減価償却 |
| 工程・ロス | ¥8–12 | ¥10–15 | 良率低下・再加工・歩留差 |
| 管理・間接 | ¥12–20 | ¥18–28 | 品質管理・管理費・間接費 |
| 小計(印刷包装除く) | ¥157–216 | ¥183–260 | 材料〜間接の合計(印刷・包装を除く) |
| 移印(1–2色) | ¥2–5 | ¥3–6 | 段取り・色数で変動 |
| 基本包装 | ¥7–12 | ¥8–14 | 白箱/スリーブ基準 |
| 合計 | ¥170–230 | ¥190–270 | 印刷・包装を含む総計 |
交期・MOQ・旺季の注意点は?
3,000個基準で中国は2P12–18日/3P18–28日・MOQ低・加急(+10–20%)可。台湾は2P14–21日/3P21–35日・MOQ高・加急限定。旺季は4–6月/9–11月です。
治具/版の先行手配と短縮余地
金型/移印版/治具の事前承認と色基準固定で初回LT短縮。印刷→塗装→硬化のボトルネックを見越し、色数/面積最適化で滞留を抑制。
加急の品質影響と要件
塗装硬化・検査の時短は塗膜耐摩耗に影響し得ます。工程能力(CT、硬化条件、抜取)の明示と、UV/移印ABで段取り時間を詰めるのが安全策。
交期・MOQ・旺季(早見表)
| 地域 | 2P LT | 3P LT | MOQ(2P/3P) | 加急可否 | 旺季 |
|---|---|---|---|---|---|
| 中国 | 12–18日 | 18–28日 | 1,000–3,000 / 3,000–5,000 | +10–20%で可 | 4–6月/9–11月 |
| 台湾 | 14–21日 | 21–35日 | 3,000–5,000 / 5,000–10,000 | 限定的 | 4–6月/9–11月 |
参考:印刷・包装の追加コスト(/球)
| 工程 | 中国 | 台湾 | コメント |
|---|---|---|---|
| 移印 合計 | ¥3–8 | ¥4–10 | 版代/治具/返修含む |
| デジタルUV | ¥8–15 | ¥10–18 | 小ロット/多色向け |
| 白箱+スリーブ | ¥24–36 | ¥30–44 | 小売標準 |
| PET透明 | ¥25–39 | ¥27–42 | 促販可視化 |
中国の量産対応工場(例示)
| 会社名 | 所在地 | 主要能力・対応 | 最小発注数量 |
|---|---|---|---|
| Hangzhou Grasbird | 浙江省・杭州市 | 主に2ピースのサーリンカバー球を得意。3ピースモデルの生産も可。 | 3,000~5,000個 |
| Ningbo Golfara | 浙江省・寧波市 | 2/3/4ピース球のOEM対応。ウレタンカバー品を含む。 | 1,000個~ |
| MLG Sports | 福建省・厦門市 | 2/3ピース球を製造(サーリン/ウレタン)。 | 2,000~3,000個 |
| Shenzhen Xinjintian | 広東省・深圳市 | 2/3/4ピース球を生産。自社金型・生産ラインを保有。 | 2,000~3,000個 |
| Chengsheng Golf | 福建省・厦門市 | 主に2ピース(サーリン)と3ピース(ウレタン)を製造。 | 2,000個~ |
品質・一貫性の差はどこに出る?
2Pは中国が価格/柔軟で優位、台湾は公差・塗膜耐久が安定。3Pは台湾が注型一貫性とクリアコート耐摩耗で優位。中国トップは接近も、量産平均のバラツキで台湾優位が残ります。
クリアコート耐久と摩耗
砂塵・芝生・打球痕での塗膜摩耗は硬化条件と塗料設計が支配的。台湾はロット間の硬化再現性が高く、艶/膜厚/硬度分布が安定。
重量/圧縮公差と良率・一次合格率
重量/圧縮の公差管理は飛距離/スピン再現性に直結。台湾は一次合格率が高い傾向。中国も上位工場は接近するが、レンジ広のため初期APQP/監査が重要。
72h塩水噴霧・摩耗・落球の試験設計
72h塩水噴霧/Taber摩耗/落球衝撃を量産前・量産中に定期実施。抜取りN/合否基準を合意、再塗装/再印刷条件も契約化。
✔ 正しい理解 — 中国=低品質ではなく「品質のレンジが広い」
上位工場は公差・塗膜・印刷で台湾に迫ります。一方で中位以下のばらつきが大きいため、初回監査とPPAP/APQPの徹底が差になります。
✘ よくある誤解 — 「中国製=一律に品質が低い」
適切な工程設計と検査密度を前提にすれば、2Pの量産安定性は十分に実現可能です。工場選定と仕様固定が鍵です。
FAQ
ロゴ印刷のMOQは?
一般に中国は1,000–3,000個、台湾は3,000–5,000個が目安。初回は版・治具費で閾値が上がります。
移印は段取り時間と版代が効くため初回MOQが高め。再注文は版/治具償却によりMOQ・単価が下がりやすい。多色・写真調はデジタルUVが有利。
3ピースの一次合格率はどちらが高い?
平均では台湾が高く、中国トップは接近。量産バラツキを抑える設計/QC体制が鍵です。
Urethane注型・クリアコート硬化・検査条件の再現性が一次合格率を左右。台湾は高規格ODMの運用実績が長い。中国は工場間レンジが広くAPQP/PPAPの徹底で差が出ます。
デジタルUVと移印はどちらが安い?
中大ロットは移印、小ロット/多色・写真調はUVが有利。用途と数量で最適が変わります。
移印は色数が少ないほど強い。UVは版代不要で色再現に優れ、小ロットで総額を抑えやすいが、耐摩耗は塗装仕様の影響を受けるため事前評価が必要。
旺季の最適発注時期は?
2–3月/7–8月の前倒しが推奨。4–6月/9–11月の逼迫を避け、単価/LTの上振れを抑えます。
繁忙期は塗装・硬化・印刷が詰まり、加急費用が増す。販促カレンダーと連動し、中国短納期→台湾中期補充の二段発注で在庫切れを回避。
日本小売向けの無難な包装は?
白箱(3球スリーブ+12球外箱)またはPET透明が無難。棚見せと物流効率を両立します。
白箱+スリーブは量販標準でギフト帯にも流用可。PETは販促性が高い。輸送効率や破損率を考慮し、内装材と外装のバランスを取る。
価格帯での国選び目安は?
≤¥100/球→中国2P、¥180–¥250/球→台湾3P。中間帯は仕様とスケジュール次第。
2Pは材料差が小さく、工賃・管理費・包装で差。3PはUrethane/塗装起因の差が大きく、歩留で実効単価が変わる。
監査・APQPに強いのは?
台湾が総合的に強い。多ブランドの高規格ODM運用実績が寄与します。
監査の深度、PPAP書式、変更管理、工程能力指数(Cpk)提示に慣れる。一方、中国大手も接近しており、工場選定が鍵。
まとめ
3P Urethaneは台湾、2P Surlynや小ロット多色印刷/包装は中国。旺季は中国の短納期+台湾の中期補充で在庫と単価リスクを分散します。
発注時は、FOB単価・LT(リードタイム)・良率/一次合格率を両地同時に請求し、移印/UVと白箱/PETの二系統で先行試作を行うのが最短コースです。用途×予算×LTの意思決定ツリーに沿えば、貴社の販売計画と在庫回転に最適化できます。
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