ゴルフボールのコンプレッションとは?用途別・仕様選定のポイント

スイングスピード別に設計されたゴルフボールを比較し、プレーヤーに最適なボールを選定するシーン

コンプレッション(圧縮比)とは、一定荷重でボールがどれだけ潰れるかを示す指標です。低いほど軟らかく、高いほど硬い。最適帯はスイング速度と気温で変わるため、まず速度帯で帯を決め、季節に応じて半段階調整します。

ゴルフボールのコンプレッションとは?“硬さ/打感”と何が違う?

コンプレッションは一定荷重での変形量を示す内部指標です。低いほど軟らかく潰れやすく、高いほど硬く潰れにくい。打感はカバー材や層構成、音や反発にも左右され、同義ではありません。

まず定義を共有し、「数値=手触り」の誤解を外します。以降の選定は“帯”で考えるのが近道です。

硬度試験機でゴルフボールの圧縮度を測定し、反発性能を確認する品質検査工程

用語の整頓(比較は“測り方の同一性”が前提)

  • 同じ70でも、ウレタン/サーリンや層構成で打感は変わります。

  • コンプレッションは比較の“物差し”、体感は設計の“総合結果”です。

項目 意味 影響部位 注意
コンプレッション 一定荷重下の変形量 球芯/全球 測定法で値が変動 同一モデル内比較向き
硬度/打感 体感の硬軟 カバー/層/音 数値と一致しない例あり 硬いカバー×低圧縮 など
層構成 2/3/4+ピース 初速/スピン 多層は管理難度↑ 4ピース=Tour寄り
カバー材 ウレタン/サーリン スピン/耐久/音 価格/耐擦傷で差 ウレタン=高スピン

✔ 正しい理解 — コンプレッションと打感は別物です

数値は変形量の指標、打感はカバー材・層・音・反発の総合結果です。例えば低圧縮でも硬質カバーなら打感は硬く感じ得ます。

✘ よくある誤解 — 「数値が低い=必ず柔らかい打感」

測り方と設計が違えば体感は一致しません。同一測定法でのモデル内比較を優先しましょう。

コンプレッションは飛距離に効く?ドライバーでの実差はどれくらい?

影響は条件付きです。高ヘッドスピードは高圧縮で効率化し得ますが、低〜中速では低〜中圧縮が潰しやすい。とはいえ距離は発射角・スピン・設計・環境の寄与が大きく、数値だけでは決まりません。

スイングスピードに応じて低・中・高圧縮のゴルフボールを比較し最適モデルを選定するシーン

速度帯(Driver) 推奨圧縮 弾道狙い メリット 注意
<80 mph(<129 km/h) 低(≤70) 発射角↑ 圧縮しやすく初速安定 打点/打出し最適化が前提
80–100 mph(129–161 km/h) 中(70–95) バランス 距離×コントロール両立 モデル差が大きい帯
>100 mph(>161 km/h) 高(≥95) 風に強い 反発効率・直進性 低温下は硬化の影響

✔ 正しい理解 — 「低圧縮=必ず遠い」ではありません

最適は速度×設計×環境の積で決まります。高速度域では高圧縮で反発効率が上がる一方、低速度域は低~中帯が潰しやすく有利です。

✘ よくある誤解 — 数字だけで飛距離が決まる

実差は打出し条件とスピン最適化が主導。ローンチモニターの数値で最終判断を。

どの圧縮帯を選ぶ?スイング速度・年齢/性別・用途別の指針

速度基準は概ね〈80未満=低〉〈80–100=中〉〈100超=高〉。年齢や女性平均は低〜中帯が適合。用途に応じて帯を半段階調整し、2〜3候補を試打するのが最短です。

タブレットでゴルフボールの圧縮度とスイングスピードの関係を確認し最適ボールを選ぶシーン

速度/年齢/用途 推奨帯 カバー材候補 層構成 ねらい
初心者/シニア/<80 mph(<129 km/h) サーリン 2ピース 距離/耐久重視
80–95 mph(129–153 km/h)/一般 中下 ウレタン/サーリン 3ピース 距離×打感の両立
95–105 mph(153–169 km/h)/競技志向 中上 ウレタン 3–4ピース 弾道/スピン制御
>105 mph(>169 km/h)/Tour寄り ウレタン 4–5ピース 風/グリーン周り最適

気温や季節で圧縮を変えるべき?冬ゴルフの調整ルール

低温で材は硬化し反発が低下します。冬はやや低めの帯が有利な場面が多い一方、空気密度増や転がり減も起こるため、弾道とクラブ選択を含む総合調整が必要です。

寒冷な屋外環境でゴルフボールを保温ケースから取り出し、温度管理を行うシーン

気温帯 圧縮微調整 想定変化 対策 注意
≥20℃ 変更なし 通常 帯の最適化維持 乾燥時はスピン管理
10–19℃ −半段階 初速/転がり微減 規則に適合した範囲での保温/ティー高調整 風の影響評価
<10℃ −1段階 体感硬化/距離減 低め帯+球温管理 カバーの硬化に注意

✔ 正しい理解 — 冬は「半段階軟化+球温管理」が基本

低温で材は硬化します。圧縮帯を少し下げ、ポケット保温や練習→本球切替の徹底で体感と距離の落差を抑えられます。

✘ よくある誤解 — 「冬は低圧縮一択」

打点や設計が合わなければ逆効果も。弾道最適化と併用が前提です。

ATTI値とメーカー公称は同じ?数値の“横比較”でハマる罠は?

同一手法でないため横比較は危険です。ATTIや社内法、温湿度、球芯か全球かで値は揺れます。重要なのは同一モデル内のばらつき(分布幅)と、継続的な傾向把握です。

測る対象・治具・温度管理で結果は大きく変わります。調達は“帯+分布”でリスクを管理。

指標 測定対象 条件差 読み方 落とし穴
ATTI 全球/静的 温湿度/速度 参考軸に有用 他社値と単純比較不可
社内法 芯/全球 速度/荷重 工程KPI向け 対外説明に注意
ばらつき幅 同一モデル n/σ/Δ 一貫性の鏡 サンプル不足

OEM/ODM・品質管理:構造別の目標圧縮と量産一致性の作り方

起点帯の目安は2ピース30–70、3ピース70–90+、4ピース90–110+。量産は±3–5点・Δ≤5点を目標(同一法基準)。同心度、温調、固化時間、SPCで分布を詰めます。

デジタルゲージでゴルフボールの圧縮度を測定し、一貫した品質を確認する検査工程

構造 起点帯 量産公差 重要管理点 試験
2ピース(サーリン) 30–70 ±4–6点 芯硬度/冷却時間 全球圧縮/反発
3ピース(ウレタン) 70–90+ ±4–5点 マントル硬度/固化 芯/全球二段試験
4–5ピース(ウレタン) 90–110+ ±3–5点 同心度/温調/SPC 力–変位曲線

✔ 正しい理解 — 数値が揃っても体感が同じとは限りません

同じ平均圧縮でも、カバー材・層厚・音の差で打感やスピンは変わります。量産ではΔとσを同時に管理し、体感の再現性を担保しましょう。

✘ よくある誤解 — 「圧縮が同じ=同じボール」

測定条件・設計差を無視した横比較は危険です。仕様書に測定治具と温湿度条件を明記してください。

FAQ

同じ「90」でも打感が違うのはなぜ?

測定法、カバー材、層構成、音の差で体感はズレます。同一手法でのモデル内分布を確認すると理解が進みます。

測定対象(球芯/全球)、温湿度、荷重速度の違いで絶対値は動きます。購入時はまず“帯+カバー材”で一次スクリーニングし、最終はローンチモニターで初速/打出し/スピンを確認。サンプルnを確保し、個体差(Δ)もチェックすると失敗が減ります。

冬だけモデルを替えるべき?

低温地域・時期は“半段階軟化”が有効。ただし弾道最適化と球温管理を併用してください。

気温低下は材硬化と空気密度増で二重に距離を削ります。規則に適合した範囲での保温、ティー高や入射角の微調整、スピン量の抑制をセットで実施。グリーンが重い日は転がり減を見込み、キャリー優先の弾道に寄せると安定します。寒冷地では冬季限定SKUを用意するのも有効です。

Pro V1の圧縮は?自分に向く?

中〜高帯の代表格で、速度と打点が安定した中上級者に好適。万人最適ではありません。

ウレタン3ピースの設計はスピンと高さの制御に優れますが、効果を活かすにはおおむね中〜高速度帯が必要。予算や狙いによっては中帯の代替(ウレタン3ピース/サーリン高反発)も検討価値あり。最終はローンチモニターの数値で合致度を判断しましょう。

女性・シニアは低圧縮一択?

多くは低〜中帯が合いますが、設計と打点次第で中帯が適合する例もあります。

サーリンは耐久と距離に強み、ウレタンは打感とスピンで優位。クラブスペックやコース条件(風/硬いグリーン)も加味し、まず帯→カバー材→層の順で2〜3候補を選定。試打でキャリーと総距離、ミスヒット時の落差を比較すれば、最短で“ほど良い柔らかさ”に到達します。

まとめ:数字に振り回されず、“帯×設計×状況”で最適化する

コンプレッションは“帯”を決める指標です。速度・季節・用途・設計を掛け合わせ、同一モデル内の分布と再現性を重視すれば、体感満足と調達安定の両立が現実的になります。

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ソン・ペンタオ

こんにちは、Golfaraの**宋 澎涛(ソン・ペンタオ)**です。このブログでは、ゴルフボールメーカーとしての経験をもとに、業界のちょっとした裏話や役立つ情報をわかりやすくご紹介しています。ぜひ、リラックスしながら読んでいただけたら嬉しいです。

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