日本の購買担当者が本当に知りたいのは、「1球あたり総コストはいくらか」「品質リスクはどこに潜むか」「国内仕入れより得か」です。本稿は、EXW(工場渡し)から海上・内陸輸送、通関・税金、品質検査までを可視化し、意思決定に必要な最短ルートだけを整理しました。読了後には、直輸入と国内代理のどちらが自社に適切か、数量とタイミングで判断できます。※本稿のレート・到岸試算・統計は2025年10月13日現在の参考値です。実取引では最新条件で再計算してください。
中国からゴルフボールを輸入すると1球いくらかかる?
輸入コストの目安は次の通りです:2層サリン約¥66、3層サリン約¥91、3層PU約¥125、4層PU約¥192(いずれも1球あたり・清関後・税込)。
※USD/JPY=151.91、海上LCL諸掛り$0.04/球、関税0%・消費税10%(CIF課税)で試算。
輸入コストは「EXW(USD)→ 為替換算(JPY)→ 諸掛り加算 → CIF相当 → 消費税10%」の順で積み上げます。ここでは、海上LCLの運賃・両国トラック・港湾費等を一律$0.04/球として、HS 9506.32(ゴルフボール)に基づく関税0%、消費税10%(課税標準=CIF等)を適用したケースを示します。
さらに前提を明示すると、諸掛り$0.04/球はLCL・約1万球・約1.25 CBM想定(例:1箱=240球・約0.03 CBM → 10,000球≈約41.7箱→約1.25 CBM)。数量・容積により±$0.01–0.03/球の変動があります。保険は簡便上ゼロ、通関業者手数料¥10,000/票(1万球で¥1/球)を含めます。ギフトセットやアクセサリー同梱などでは関税分類が変わる可能性があるため、HSの適用は事前に通関業者へ確認してください。
| タイプ | 中国EXW(USD/球) | EXW換算(JPY/球) | 日本生産モデル(JPY/球) | 日本到岸(税抜, ¥/球) | 日本到岸(消費税込, ¥/球) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2層サリン | 0.35 | 53.2 | 150–200 | 60.2 | 66.2 |
| 3層サリン | 0.50 | 76.0 | 180–260 | 83.0 | 91.2 |
| 3層PU | 0.70 | 106.3 | 300–500 | 113.4 | 124.7 |
| 4層PU | 1.10 | 167.1 | 380–600 | 174.2 | 191.5 |
✔ 正しい理解 — 関税は0%でも輸入消費税10%が必要です
HS 9506.32(ゴルフボール)は日本関税率0%ですが、課税標準(CIF等)に対して消費税10%が課税されます。実務ではここを見落とすと合計見積がブレます。
✘ よくある誤解 — 「関税0%なら税金はゼロ」
消費税10%は別途必要です。課税事業者であれば仕入税額控除の対象になり得ます。
為替感度(±5%)の到岸税込イメージ
為替が動くとコストは直線的に変動します(2層サリン例)。
| USD/JPY | 税込到岸概算(¥/球) |
|---|---|
| 144(-5%) | 約63–64 |
| 151.91(基準) | 66.2 |
| 159(+5%) | 約68–69 |
日本と中国で製造コストはどれくらい違う?
日本国内製造は概ね中国の1.5〜3倍です(2025年10月時点の参考レンジ)。例:2層サリンは日本¥150–200/球に対し中国EXW換算¥53–60/球。差は人件費・塗装ライン稼働率・規模の経済に起因します。
同一設計でも、人件費・塗装/印刷の段取り替え・歩留の差が原価に直結します。日本は短納期/小回りに強みがある一方、量産スループットは中国工場に分があります。為替と運賃は短期変動要因として注意してください。
| 製品タイプ | 日本生産コスト(¥/球) | 中国EXW(¥/球) | 差額(¥/球) | 主因(材料/人件費/規模) |
|---|---|---|---|---|
| 2層サリン | 150–200 | 53–60 | 97–147 | 人件費・塗装段取り |
| 3層サリン | 180–260 | 76–83 | 104–177 | 規模の経済・材料共通化 |
| 3層PU | 300–500 | 106–113 | 194–387 | PU塗膜・養生時間差 |
| 4層PU | 380–600 | 167–174 | 206–426 | 多層工装・歩留影響 |
✔ 正しい理解 — 「安い=低品質」ではありません
価格差の多くは労務・稼働率・設備規模の違いです。工程管理と検査設計を入れれば、性能の安定は十分実現できます。
✘ よくある誤解 — 「日本製でないとUSGAに通らない」
主要中国OEMはUSGA/R&A合格球の量産実績があります(申請有無と適合性は別概念)。
OEM生産のMOQとリードタイムはどのくらい?
サリン系はMOQ3,000〜10,000球、PU系は5,000〜20,000球が目安。試作7〜20日、量産3〜10週。復購後は単色印刷でMOQを下げられる場合があります。
初回は配合・塗装・印刷の3点をシンプルにし、サンプル→PPK検証→本生産の順を推奨します。印刷色数やギフト箱指定はMOQとリードタイムを押し上げます。
| 層数/タイプ | MOQ(球) | 打样(試作) | 量産周期 | 留意点 |
|---|---|---|---|---|
| 2層サリン | 3,000–10,000 | 7–15日 | 3–6週 | 多色印刷・化粧箱でMOQ上振れ |
| 3層サリン | 3,000–10,000 | 7–15日 | 4–7週 | 中間層硬度の安定化 |
| 3層PU | 5,000–15,000 | 10–20日 | 6–9週 | 塗膜の養生・回湿時間 |
| 4層PU | 8,000–20,000 | 10–20日 | 7–10週 | 工装セットアップと歩留 |
中国製ゴルフボールの品質は信頼できる?リスク回避の方法
主要OEMはUSGA/R&A合格球を量産可能。安定性を担保するには、PPK≥1.33の工程検証、分層留サンプル、塗装/印刷AQL、出荷前抽検の4点をチェックリスト化してください。以下は推奨SOP例であり、製品仕様・契約条件に応じてPPK/AQL値は双方合意で調整します。
工場選定の4視点
短納期より一貫性と検査設備を重視。輸出実績・サンプル一致性・設備・対応力の4観点でふるいにかけます。
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出口実績:欧米・日本向けの量産経験の有無
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サンプル確認:試打・硬度・圧縮(ATTI)レンジ一致
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工場設備:初速(COR)・硬度計・落球/百格・スピン対称
-
対応力:レスポンス速度、見積の論理性、市場理解
リスク回避チェックリスト
短期の「当たり外れ」をなくすのは検査設計です。数値窓と頻度を明記しましょう。
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工程サンプル → PPK検証1.33以上(圧縮・初速・回転窓)
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分層留サンプル(芯/中間層/完成品)→ 30/60/90日再測
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塗装・印刷のAQL/付着力(百格/落球)基準化
-
出荷前ランダム抽検(外観・重量・直径・スピン対称)
| チェック項目 | 推奨基準 | 頻度 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 圧縮(ATTI) | 目標±5 | ロット毎 | 2σ管理・再現性確認 |
| 初速(COR) | 指定窓内 | ロット毎 | 温湿度条件を固定 |
| 付着/耐摩耗 | 百格/落球 合格 | 月次+ロット頭 | 白箱摩耗対比 |
| 印刷位置精度 | 極座標偏差±0.5mm | ロット毎 | 出荷判定項目化 |
| 分層留サンプル | 30/60/90日再測 | 毎ロット | 硬度・初速漂移監視 |
信頼できる中国のゴルフボール工場リスト(参考)
輸出実績・対応タイプ・MOQを横並びで比較できる6社を掲載。初回は打样速度と技術対話力を優先し、価格だけで選ばないことが成功の近道です。
| 工場名 | 所在地 | 主力球型 | 公開MOQ(球) |
|---|---|---|---|
| Shenzhen Xinjintian | 広東省深圳 | 2–4層(Surlyn/Urethane 混合) | 10,000(3層一部5,000) |
| Xiamen Liying Industrial | 福建省厦門 | 2/3/4層(Surlyn+Urethane) | 5,000 |
| TH-Sport | 福建省厦門 | 2PC〜4PC各種 | 10,000 |
| Hangzhou Taisly | 浙江省杭州 | 2〜4層(Surlyn/混合) | 5,000–10,000 |
| Ningbo Golfara | 浙江省寧波 | 2–4層(Surlyn/Urethane) | 1,000試単・量産3,000+ |
| Youli Sports Equipment | 広東省東莞 | 2–4層(Surlyn/Urethane/TPU) | 3,000–10,000 |
✔ 正しい理解 — MOQは仕様で変動します
ロゴ色数やパッケージ、PU塗装の有無でMOQは上下します。復購後は単色・定番仕様で引き下げ余地があります。
✘ よくある誤解 — 「全品一律の固定MOQ」
工装共有・段取り最適化により交渉余地があります。まずは実需数量を明確化しましょう。
日本のゴルフボール輸入量の推移(近3年)
2023年は約1,585万球・$9.08Mで前年比約3倍。CIFベースで約$0.57/球、為替151.91で約¥87/球。数量増はスケール効果で単価を押し下げる傾向です。
| 年度 | 数量(球) | 金額(USD) | 参考JPY/球(151.91) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2021 | 5,757,970 | 3,063,200 | 約¥81 | コロナ影響の反動 |
| 2022 | 5,382,890 | 3,235,730 | 約¥91 | 運賃上振れ期 |
| 2023 | 15,850,000 | 9,079,920 | 約¥87 | 量産回復・多品種拡大 |
出典:WITS/UN Comtrade(HS 950632, Japan imports from China)。為替は当日仲値換算の参考。
直輸入と日本代理商、どちらが得か?
1〜2万球規模で2〜4週の納期弾力があるなら直輸入が15〜35%安。少量/短納期・PL法対応・返品含むサポート重視なら代理商が堅実。併用が最適解です。
| 比較項目 | 直輸入 | 代理商 | コメント |
|---|---|---|---|
| 価格 | 安い(15–35%差) | 仕切価格上乗せ | 関税0%+物流単価で直輸入優位 |
| 納期 | 工場枠に依存 | 短期補充可 | 欠品時の緊急性で差 |
| 品質/PL対応 | 自社で設計・検査 | 国内保証/返品 | 初期は代理の安心感 |
| カスタム自由度 | 高い | 定番中心 | 多色印刷や箱で差 |
| キャッシュ/在庫 | 前払/在庫厚め | 小口調達 | キャッシュ負担を評価 |
運用のコツ:最初の1〜2ロットは代理経由で配合・塗装・清単(USGA/R&A登録含む)を固め、成熟後に定番SKUを直輸入化。代理は緊急補充と国内サポートを担う形が最も合理的です。
行動ステップ:初回輸入の進め方
まず1万球で実測コストと清関要件を検証。仕様を簡素化し、AQL/PPKを契約に明記。消費税の仕入控除可否を経理で確認し、次回ロットの直輸入設計に反映します。
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目標価格帯:2〜3層サリン ¥70〜95/球(ロゴ・箱は最小限)
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仕様はシンプル:色数削減・標準塗膜でMOQ/リード短縮
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HS 9506.32(ゴルフボール)で通関:関税0%・消費税10%(CIF課税)
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サンプル→PPK≥1.33を確認後に本生産へ
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分層留サンプルと月次再測をSOP化
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経理確認:輸入消費税の仕入税額控除の可否を事前合意
FAQ
ゴルフボール輸入の関税はいくら?
HS 9506.32(ゴルフボール)は日本の関税率0%です。ただし関税がゼロでも、後述のとおり輸入消費税10%は課税されます。
輸入原価を見積もる際、関税ゼロを前提にしても問題ありません。実務ではCIF(または輸入課税標準)に対し消費税10%がかかるため、ここを忘れると最終の到岸見積がぶれます。報関書類とインボイスの金額整合も同時に確認しましょう。ギフトセット(ボール+小物同梱等)は別分類の可能性がある点にも注意してください。
輸入時に消費税は課税される?
はい、課税されます(原則10%)。課税標準はCIF等で、関税0%でも別途10%の輸入消費税が発生します。
課税事業者であれば、適切な帳票整備のもと仕入税額控除が可能です。内部評価では「税抜到岸」と「税込到岸」を分け、控除可能性に応じて採算ラインを比較してください。控除不可のケースでは税込到岸で粗利判定を。
MOQが多すぎる場合、試作だけ可能?
可能です。多くの工場が試単1,000球やサンプル量産を用意し、復購後にMOQ引下げへつなげます。
打样(7–20日)の範囲で印刷色数を絞る、箱は汎用品にするなど、段取りを軽くするとMOQが下がりやすくなります。初回は検査設計(PPK・AQL)を確立し、仕様凍結後に定番SKUでMOQ交渉するのが効果的です。
OEMロゴ印刷は別料金?
別料金が一般的です。色数・面数・位置精度で変動し、多色/高精度ほど単価とMOQが上がります。
見積依頼時に色数(PANTONE)・印刷面・位置公差(±0.5mm)を明記しましょう。塗膜との付着力試験(百格/落球)をAQLに入れると量産の当たり外れを抑制できます。ギフト箱指定は工数/資材の両面でコスト加算要因です。
サンプル検査はどの段階で行う?
打样後すぐに実施し、PPK≥1.33を満たすまで再調整。その後に金型/工装を固定します。
検査は圧縮(ATTI)・初速(COR)・重量/直径・スピン対称が基本。さらに分層留サンプル(芯/中間層/完成品)を保管し、30/60/90日で硬度・初速の漂移を再測。塗膜は百格/落球/白箱摩耗で耐久を確認しましょう。
日本製との性能差は大きい?
設計と工程管理次第です。主要中国OEMはUSGA/R&A合格球の量産が可能で、検査設計を入れれば安定化します。
性能差は配合・塗装・養生・印刷精度の積み重ねで決まります。供給開始時は窓(圧縮±5・初速レンジ)を契約に明記し、出荷前抽検と定期監査を組み合わせましょう。コスト差は主に労務/規模で、品質=価格の単純連動ではありません。
まとめ
中国からゴルフボールを輸入する際の総コストまとめ(結論)
本稿の結論を整理すると次の3点です。
1️⃣ 1球あたりの輸入コスト目安:2層¥66・3層¥91・3層PU¥125・4層PU¥192(すべて清関後・税込、2025年10月13日現在)。
2️⃣ 税制条件:HS9506.32は関税0%、ただし消費税10%が課税されます。1〜2万球規模では直輸入が15〜35%有利になります。
3️⃣ 品質安定の要点:工程管理(PPK・AQL・分層留サンプル)を導入すれば、中国OEMでもUSGA/R&A水準を維持可能です。
まずは1万球規模で実査・通関・検査を行い、次ロット以降に直輸入設計を最適化してください。
ご興味のある方へ:
中国のゴルフボール工場からの直接輸入を検討されている場合、ぜひお気軽にご相談ください。
ご発注の有無を問わず、仕入れ設計・品質確認・コスト試算などについて、実務ベースのアドバイスを無償でお伝えします。
貴社の条件に最も合う調達モデルを、一緒に検討できれば幸いです。
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